シーズンズ設計・デザイン・監修者 ポール・スミザー氏
僕はシーズンズのデザインを依頼されて、
どんな庭にしようかと考えた時に、まっさきに
多年草中心の庭を作ろうと思った。
都会の中で季節感はどんどん失われていくけれど、
シーズンズに来れば植物から季節を教わり、
心も癒される。そんな空間にしたいのです。
歴史を継承した庭づくり
ポール・スミザー氏を阪急がシーズンズのガーデンデザイナーに選んだ理由のひとつが、
氏の「ここにある歴史を生かしてつくる」という提案でした。
シーズンズは、もともとは宝塚植物園であり、日本植物園協会の発祥の地です。
樹齢100年以上の大木が今も生かされているのです。
木を生かし、歴史的な建造物を活かした「宝塚の歴史を継承した庭園」が、シーズンズ
なのです。”なつかしいもの、思い出、世代を超えた人を「庭」がつないでいく”
イギリスの歴史・自然景観を保存・活用する市民団体「英国ザ・ナショナルトラスト」が、ポール・スミザー氏のこの考えに共感し、開園を祝して、シシング・ハースト・
カースルガーデンの有名な白バラ、ロサムリガニーをポール・スミザー氏に寄贈してくださいました。その碑が、シーズンズに設置されています。
満開のロサムリガニーと英国ザ・ナショナルトラストの碑
環境に負荷を与えない庭づくり
ポール・スミザー氏がこの庭をつくるときに提案されたコンセプトが、「農薬をいっさい
使わない、多年草中心の庭づくり」です。
”シーズンズは、自然の生態系を守り、より豊かにするために農薬を使わない。
また、植物の自立を促すために化学肥料も使わない。
無農薬を続けることによって、強く美しい庭ができる。”
このコンセプトにそって試行錯誤を行ってきたシーズンズの現在がそれを実証しています。
子供達にも安全で、豊かな生態系を取り戻した庭は、生き物達でいっぱいです。
現在兵庫県下では絶滅危惧種で、宝塚市の 生物多様性を象徴するシンボル生物でもある、日本で一番美しいと言われる赤とんぼ「ミヤマアカネ」も、毎年ここにたくさんやって来るのです。
宝塚市の生物多様性を象徴するシンボル生物、ミヤマアカネ
街の中に四季をつくる
ポール・スミザー氏が庭をつくるということは、そこに自然をつくるということ。
電車が通り、道路が走り、高層マンションが立ち並ぶ都市の中心部であるけれど、樹木と多年草が中心の美しいこの庭では、1500種もの植物が四季折々に表情を変え、私たちを出迎え
てくれます。
シーズンズは、宝塚という都会の街の中で自然の四季を見せる庭なのです。
”地元の素材(マテリアル・植物・植生など)を最大限活かし、自然な美しい庭をデザインする。”
このようなポール・スミザー氏の独自の目線によるガーデンデザインには定評があります。
高層ビルが立ち並ぶ都会の中のオアシス
ポール・スミザー氏の庭
日本各地のポール・スミザー氏の庭を紹介します。
ポール・スミザー氏 プロフィール
イギリス・バークシャー州生まれ。
英国王立園芸協会ウィズリーガーデン、米国ロングウッドガーデンズで園芸学とガーデン・デザインを学ぶ。
主な作品は、「宝塚ガーデンフィールズ・英国風ナチュラル庭園シーズンズ」「軽井沢ムーゼの森・ピクチャレスクガーデン」「鳥取市・湖山池ナチュラルガーデン」「清里・萌木の村ナチュラルガーデン」「見附市柳橋千刈街区公園ナチュラルガーデンせんりゅう」など。
著書に「ポール・スミザーのナチュラルガーデン」「日陰でよかった!」「ポール・スミザーの自然流庭づくり」「街の中に四季をつくる ポール・スミザーのパブリックガーデン」「ポール・スミザーのガーデン講座 選ぶことから植えるまで」「オーガニックでここまでできる!シーズンズの庭づくり12ヶ月」「四季を感じる宿根草と手間いらずの庭木でー
ナチュラルな庭づくり」の他、DVD「四季のガーデン生活」
がある。